キッチンやトイレの汚水を流すのは下水道。
例えば、首都圏で生活している人にとって下水道があることは当たり前で、むしろそれ以外の方法はピンと来ないこともあるのではないでしょうか?
しかし、田舎の空き家情報を見ていると、農業集落排水や簡易水道など都市部に住んでいると見かけない単語が出て来ます。
目次
農業集落排水や浄化槽?田舎の汚水処理方法について
田舎の空き家物件を選ぶ際に「トイレが汲み取り式だとちょっと」という方は結構みえるかもしれません。
ただ、浄化槽に切り替えれば利便性は下水道と大きく変わりませんし、単純に現況だけで判断せずに、どういった汚水処理方法があるのかを把握しましょう。
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農業集落排水
参照元:笠間市
農業集落排水とは、集落ごとの生活排水を処理施設に集めて処理する方法です。
いってみれば下水道事業の小さい版のようなもので、また利便性についても下水道と変わりません。
浄化槽
参照元:大分県
浄化槽とは、微生物が生活排水を分解して綺麗な状態で放流するための施設です。
農業集落排水が集落の処理施設であれば、浄化槽は個人宅の処理施設になります。
そのため浄化槽の適正な維持管理は所有者に求められるため、浄化槽法に基づき「法定検査」「保守点検」「清掃」の3つを行うことを義務づけられています。
また、物件情報を見ていると浄化槽に「単独処理浄化槽」と「合併処理浄化槽」の2種類がありますが、こちらの違いを把握しておくことも重要です。
単独処理浄化槽とは?
単独処理浄化槽は「トイレからの汚水のみ」を処理します。
キッチンやお風呂の生活雑排水は、道路側溝を通じて川などに放流されることになります。
平成13年4月から単独処理浄化槽の設置は出来なくなっておりますが、田舎の空き家ですと単独処理浄化槽の物件も見かけます。
合併処理浄化槽とは?
合併処理浄化槽は、トイレ、キッチン・お風呂など「全ての汚水を処理する」浄化槽です。
現在新たに設置する浄化槽は、すべて合併処理浄化槽になります。
汲み取り式(簡易水洗)
汲み取り式は、昔で言うところの「ポットン便所」です。
トイレの下に便槽が設置されており、臭いが気になるのが欠点です。
また、物件情報で汲み取り式と併せて「簡易水洗」という記載がありますが、こちらは一定量の水を流してトイレと便槽の間の蓋を水の重量を用いて開ける仕組みになっています。
汲み取り式は浄化槽への変更を検討!?
汲み取り式は利便性やコストも考えると、浄化槽に変更されることをお勧めします。
一般的に大きな工事となりますので費用も150~200万円程度掛かることが多いですが、使い勝手や毎日の生活のことを考えると切り替える価値はあると思います。
また、自治体によっては補助制度もありますので、一度問合せしてみましょう。
簡易水道や井戸?田舎の引水方法について
引水方法は田舎でも多くは上水道になりますが、それでも稀に簡易水道や井戸などもあります。
使用する際には利用料が発生することもありますし、それぞれ詳しく見ていきましょう。
簡易水道
簡易水道とは正式には「簡易水道事業」と言い、計画給水人口が5,000人以下の水道事業をいいます。
そのため人口の少ない農村では簡易水道は一般的です。
私設水道(自治会水道)
上水道や簡易水道は公営(市町村で管理)に対して、私設水道は周辺住民や自治会、集落などが管理する水道です。
多くは貯水槽に浄化装置を設置して飲用水として利用出来るように水質管理されています。
共同井戸
共同井戸は単独所有では無く、近隣の2~3件と共同管理している井戸を利用します。
送水ポンプの電気代や故障時の修理費、清掃や点検費用は利用者で分担することが一般的です。
また、利用開始時に加入料等を請求される場合もありますので要チェックです。
湧き水の引水
山からの湧き水や川の水を井戸や貯水槽に貯めてポンプで送水します。
井戸とは水源地が違うだけで管理等の考えはほぼ同じです。
井戸・湧き水等の場合は水源地の利用権限について事前確認しておくようにしましょう。
田舎の住宅設備にあるボイラーって何?
物件情報を見ているとボイラーというものを見かけることがあります。
都市部では「ガス(都市ガス/プロパンガス)」か「電気(エコキュート/電気温水器)」が多いので、ボイラー(灯油)はピンと来ないこともあるかもしれません。
使い方はガス給湯器同様に室内にコントロールパネルがあるので変わりはありませんが、灯油をタンクに給油しなければいけません。
近くのガソリンスタンドで配達を依頼するか購入してくる必要があります。
おわりに
今回は田舎でよく見る設備について解説してきました。
上水道や下水道が当たり前だと農業集落排水や簡易水道が何なのか分からないと思いますが、生活の利便性に大きく影響するので必ずチェックしておきたいポイントです。
また、利用する際に利用料が発生したり、浄化槽であれば補助金が利用出来ることもあります。
何にせよ自治体に確認することは忘れずに!
田舎の空き家もリフォームすれば快適に住むことが出来ますので、きちんと予算を考えて計画してくださいね。