今もニュース等で取り上げられる空き家問題。
5年毎に行われる総務省統計局の「土地統計調査(H30)」では、長期不在で住んでいない・放置された住宅(その他の住宅)が約347万戸に上ると発表されています。
長期的に利用しなくても不動産を所有していれば固定資産税が掛かります。
また、放置していれば近隣トラブルに発展する可能性もあり、そうならないために管理するのも大変です。
では、なぜ空き家を売らないのでしょうか?
目次
肌で感じる!空き家を売らない(貸さない)理由について
じつは、空き家を売らない(貸さない)理由について、国土交通省が「空き家所有者実態調査」を行いデータを公表しています。
理由を大きく分けると、次のような意見が多くを占めます。
- 荷物の保管場所として利用している
- いつか利用するかもしれない
- 住宅の質や立地条件が悪く買い手(借り手)が見つからない
- 解体やリフォーム等でお金をかけたくない
たしかに上記の理由も耳にしますが、空き家所有者の方と話し込んでみると他の理由もあると感じています。
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ローリスクな空き家の売却や活用方法が分からない!?
私は不動産業の仕事として、登記情報から空き家所有者を調べて「売りませんか?」という営業に伺うこともあります。
そういった営業だと売らないと断られることがほとんどですが、よくよく話し込んでみると「条件に合えば売っても良い(貸しても良い)」という声は多いです。
つまり、空き家を売らないのではなく「空き家の売却や活用する方法が分からない」ということも空き家問題の理由ではないかと考えています。
実際のところ、
- 使っていないのに固定資産税を払うのは勿体ない
- 空き家の清掃のために水道や電気の基本料金を払っている
- 定期的に管理に行くのも面倒くさい
と思っている人は多く、ただ売却するとなると解体や測量などの費用が掛かり、それで売れなかったらと思うと踏み切れない。
賃貸も同様に、貸すためにリフォームをして借り手が見つからないと損をする。
買い手・借り手が少ないのは不動産会社が活動しないから!?
空き家をそのままにしておく理由に「住宅の質や立地条件が悪く買い手(借り手)が見つからない」というものがありました。
たしかに住宅の質や立地条件が悪いと売りにくい(貸しにくい)です。
しかし、買い手(借り手)が見つからないのは「不動産業者が営業活動を積極的に行わない」というのも理由の一つだと感じています。
ただ、これは不動産業者が悪いと言っているわけではなく、不動産業者が頂ける仲介手数料は物件価格に比例します。
築年数が古い・立地条件が悪い等の空き家は売却価格も低いため、必然的に仲介手数料も少なくなります。
その結果、
- ウチの空き家は古いし売れない(貸せない)
- 売る(貸す)ためには解体費やリフォーム費などお金が必要になる
- そのままにしておこう
となるのではないでしょうか?
そのため売却(賃貸)価格の安い物件に関しては「不動産仲介とは別のインフラが必要」だと感じています。
切羽詰まるまで緊急性を感じることができない!?
あとは、とにかく空き家を売却する緊急性を感じていないことも挙げられます。
- 固定資産税を払い続けても負担にならない
- 空き家の管理も手間と感じない
という方は、とくに焦って空き家を売却する理由もないでしょう。
しかし、2024年から相続登記が義務化されたり、管理不全空き家(特定空き家)は固定資産税が1/6になる住宅用地の特例を受けられなくなる可能性があること等の「リスク」を知らずに放置されている方もみえます。
政府は2030年には470万戸に増えると予想される空き家を400万戸程度に抑えることを目標に掲げています。
そのため、おそらく今後空き家を放置することに対して罰則は増えていきます。
空き家を売らなくても活用は出来る!?
その他の空き家を売らない理由として、
- いつか利用するかもしれない
- 解体費やリフォーム等でお金をかけたくない
というものがありましたが、こういった理由だと売却するという選択は難しいでしょう。
しかし、上手く空き家を活用することは出来ると思います。
いつか空き家を使うなら「定期借家契約」で賃貸!
「いつか家族が使うかもしれないから空き家を残している」という方はたくさんみえます。
しかし、その”いつか”が来ずに長年空き家のままにしているケースも多く、国土交通省のデータでは低未利用土地の所有期間が30年を超える物件が約半数にも上ります。
賃貸すると使いたい時に都合良く退去してくれない。
だから賃貸しないという声も聞きますが、期限を定めて賃貸する「定期借家契約」という方法もあります。
借主からすれば期間を定められることは利点ではないので、普通賃貸借に比べて定期借家契約は賃料設定が低めに設定されます。
しかし、仮に10年20年と空き家を放置しておくよりも、多少でも賃料が入ってくる方がありがたくはないでしょうか。
解体やリフォームでお金をかけたくないなら「古家付き」「DIY賃貸」
空き家は解体して更地にすると売れやすいと言われます。
実際にどうなのかというと、確かに更地にした方が購入者としては土地の広さや形もはっきり分かるので売れやすいです。
ただ、解体しないと売る方法がないかというとそうでもなく「古家付き」として売却することも可能です。
古家付きとは「建っている古家を再利用するのも撤去するのも買主の自由にして下さい」という条件で売ることを指します。
古家付きとして売却するメリットは「解体費を用意しなくて済む」ことでしょう。
また、賃貸でもリフォームをせずに、近隣相場よりも賃料を下げて「DIY賃貸」として貸し出すのも手です。
DIY賃貸であればリフォーム費用の負担がない分、ローリスクで空き家を活用することができます。
「でもDIY賃貸で好き勝手にリフォームされるのも心配なんだよね」という声も聞きますが、どこまでDIYして良いのか事前に取決めて契約するのが一般的です。
おわりに
今回は「空き家をなぜ売らないのか?」その理由についてお伝えしてきました。
空き家問題は政府や自治体も色々と手を尽くして解決しようと取り組んでいますので、空き家所有者に対して売らない(貸さない)理由についても調査されています。
しかし、現場で聞く空き家所有者の生の声を聞くと「どうして良いか分からない」「売れるわけがないという諦め」が多いです。
そういった理由から「空き家コネクト」は生まれていますので、不動産業者が取り扱いするには難しい低価格帯の空き家や空き地を所有されている方は、ぜひ「空き家コネクト」をご利用ください。
最後までご覧頂きありがとうございました!